介護士の
日常の中には
喜びがあふれています

Tさん 介護福祉士 9年目 私は前職は療養型(透析を受ける人を対象とした施設)で看護助手をしていました。そこで経験を積んで資格を取り、介護士として花水木に入職しました。ここでの経験はもうじき10年になります。 自分は認知症の方が好きだなと思っていて、大変なことも多いながら、日々の介護に励んでいます。

介護のやりがい

精神面の負荷が高い仕事でもありますが、利用者様がニコニコしていたら嬉しいですし、落ち着かない状態の利用者様が接しているうちに穏やかになっていくのを見ると、よかったなと思います。介護度が上がってしまった方が久しぶりにご自宅に帰れたりするとこちらまで嬉しいです。介護士の日常の中にはそんな喜びがあふれています。
在宅介護というのは難しいもので、身内同士だとどうしても言いたい事を言い合ってエスカレートしてしまったりしますよね。ここ花水木2Fの認知症フロアでも、職員がバタバタしていたりあまりうまく対応できないと、利用者様もどんどん不穏になって、みんなで表情が険しくなっちゃったりするんです。でも職員が和気あいあいと仕事できていると利用者様も落ち着いています。そういう傾向を認知棟に来て痛感しました。人間として年老いていくうちに忘れてしまうことが多くても、赤ちゃんが周りの緊張を察して泣き出しちゃうような、そんな感覚はみなさん残っていらっしゃる。だからこそ優しく在りたいですし、いい雰囲気で利用者様にいい時間を過ごしていただきたいと考えています。

認知症介護の壁

認知症というと暴れたりということが懸念されるかも知れませんが、ここは精神科専門の吉祥寺病院が併設ですから、暴力が激しい方もまず精神科にかかっていただいて、調整できたら戻っていただくといった運用ができています。連携先のDrにも、当院の精神科Drにも助けてもらっていますよ。Drはきちんと向き合って薬も選び、対処法を考えてくれます。おひとりおひとりに合った接遇を考える上で、医師の協力はとても大切ですね。

つらいことの克服

認知症の症状で物盗られ妄想などが出ることもありますが、施設の中では直接攻撃に遭うことはあまりありません。やっぱりリラックスしていただける環境だからかなと思っています。
それに、しんどいなと感じることがあっても、時が忘れさせてくれます。落ち込むこともありますが、時間が経てば癒えると感じています。忙しくしていると、気付いたら心の傷も癒えているものです(笑)。
職場でもお互いにしんどかった体験を開示し合って、互いに共感しあって、体験を消化しています。

夜勤の大変さについて

2Fのスタッフは、夜の時間帯は三人で入居者様全員を受け持っています。よく動く入居者様もいらっしゃるので、安全にお守りするのは確かに一苦労です。一般の棟には一般の棟の、認知棟には認知棟の大変さがありますね。一般の棟では全介助の方が多く、夜も体力的に大変という部分もありますし、ここ認知棟は夜も三人だから不安が少ない一方、転倒リスクの高い方が多いので気を張ります。それぞれの現場の状況がありますから、そこに合わせた介護をしたいものです。

コロナ禍の認知棟

2Fの認知棟は、認知症など精神面で不穏な方が多く入居していらっしゃいます。お話も通じたり通じなかったり、さっきまで話せていたのに忘れてしまったり、ということが多いです。ご本人には入居しているという認識がなかなか定着せず、「ここは家に帰れないし外に出られないし、電話もできない場所」というご不満を抱いてしまわれる瞬間もみなさま経験されています。だからこそなるべく外出したり、気晴らししたりする機会を取って差し上げたいですが、コロナ禍ではそれも難しかったので、病院の受診のためとか、ご親族の葬儀のために短時間抜けるようなことくらいでしか外にお連れできなかったのでお気の毒でした。感染症の危険性が穏やかになり、またご家族と外に出てリフレッシュしていただけるようになるよう願っています。

働く環境

介護といってもおうちで認知症の方をみるわけではなく、施設のみんなで助け合い相談しながらあれこれやっていくという感じですから、抱え込まずに働ける環境です。介護は一人でやるものではなく、チームでやる仕事なんです。看護師、介護士というフロアのチームでもありますし、それ以外にも相談室や機能訓練(リハビリ)の方とか、花水木の中でもいろいろな部署の人と連携しています。自分だけでなにかを決めるというより、アドバイスをしあいながら利用者様のQOLをみんなで追求しています。

施設のなりたちと思い

この花水木は今の理事長・院長が、訪問診療で伺ったお宅で「明らかに認知症だな」と思っても、受け入れる施設が当時少なかったため、そういう方を受け入れたいという思いから作った施設と聞いています。
介護はとても重要で奥が深い世界です。少しでも困っている方のお困りを解決し、楽しい時間を過ごしていただくことに興味をお持ちなら、ぜひトライしてみてほしいなと思います。

新しく入られる方へ

ありきたりですが、挨拶が大切です。利用者様を一番に考えて対応できる方なら、経験が少なくても大丈夫です。困った時にも周りの職員がフォローするので安心してほしいなと思います。
技術はここで過ごすうちに見よう見まねで獲得できるものですが、心というのは学んで獲得するものというよりご本人のありようですから、お人柄に期待しています。
お年寄りに対する尊敬や、認知症の方への親切心などを、大切にできる方をお待ちしています。

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